世界のサブスクリプションコマース市場は急成長しています。前年比65%以上の成長率で推移し、2026年までに市場規模は9,042億8千万米ドルに達する見込みです1。事業者にとって、サブスクリプション・マーケティング(以下、サブスクマーケティング)は、ロイヤルカスタマーを構築し、定期的な収益を確保する絶好の機会となります。ここでは検討すべきモデルとその始め方をご紹介します。
サブスクマーケティングとは?
サブスクマーケティングは、企業が新規のユーザーを獲得するだけでなく、既存のユーザーと長期的にビジネスを継続するために考案された戦略です。最も一般的なものは、ユーザーが製品やサービス利用するために、定期的に料金を支払うというサブスクリプション・ビジネスモデルです。
サブスクリプションコマースの仕組み
ユーザーは、商品やサービスに対して定期的に購入することに契約をします。商品やサービスを受け取る頻度(毎週、毎月など)は、ユーザーが選択することができます。契約期間が終了するタイミングになると、サブスクリプションを更新するか解約するかを選択する事が可能です。企業によってはユーザー側がいつでも解約することができます。
サブスクリプションコマースの種類
多くの消費者が複数のサブスクリプションサービスを利用していいます。Netflixなど明らかにユーザーが多いものもありますが、コロナ渦ではニッチなサービスを探した人もいるでしょう。
サブスクリプションコマースには大きくわけると主に3種類のビジネスモデルが存在します。
定期購買型:ユーザーが定期的に必需品や交換品を購入するために支払うモデルです。商品が玄関先まで直接配達されるため、牛乳やドッグフード、消臭剤などの必需品を忘れず定期的に購入したいという消費者をターゲットとしています。
キュレーション型:定期購入ボックスは近年、人気が高まっているキュレーション型の代表です。ユーザーの過去の購入履歴に基づき、その嗜好傾向から複数の商品を選び、毎月ボックスに入れて送ります。ユーザーは「サプライズ」を楽しむことができ、またパーソナライズされた商品が送られてくるためブランドとの強いつながりを育みます。例として、ドイツ発のビューティーブランドのGlossyboxがあり、DHL Expressを通じて、世界中に化粧品のサンプルを発送しています。
メンバーシップ型:メンバーとなったユーザーがディスカウントやセールの利用など、専用の特典を得ることに料金を支払います。ユーザーが利用する動機となるのは特別感です。ブランドはこのモデルを活用してユーザー重視のスタンスを伝え、ロイヤリティを醸成することができます。
サブスクリプションコマースの導入メリット
サブスクリプションコマースの人気はますます高まっています。このビジネスモデルを展開しているブランドは2021年だけでも顧客数を31%増加させたという報告があります2。このビジネスモデル参入の検討にあたり、主なメリットは以下の通りです。
安定した収益
EC事業者にとって、売上予測は難しいものです。しかしサブスクリプションコマースを開始することで、毎月の売上をより正確に把握できるようになります。
費用対効果
新規顧客獲得にはコストがかかります。実際、新規よりも既存のユーザーを維持するコストは5分の1に抑えることができます3。サブスクリプションコマースは、中長期にわたってロイヤリティの高いユーザーを確保することが可能になります。これは言うまでもなくサービスの質がとても重要になってきます(これについては後述します)。
需要予測の向上
サービスの利用者数を把握することができれば、在庫計画が立てやすくなり、最適化が可能となります。つまり余剰在庫を削減し、保管コストを削減することができます。
競合他社への流出を低減
Eコマースは競合が厳しく、簡単にライバル会社にユーザーを取られてしまう可能性があります。しかしユーザーがサブスクサービスに登録をすることで、競合会社へ流出する可能性が低くなります。
顧客満足度の向上
ユーザーに合わせてパーソナライズされた商品やサービスは、購買意思決定に大きな影響を与えます。実際、パーソナライズした商品やサービスの提供をした場合、ユーザーの80%が購入する可能性が高くなります4。 毎月の定期購入ボックスのようなキュレーション型のサブスクサービスでは、ユーザーの具体的な嗜好に基づいて厳選した商品を送ることが可能です。
アップセルとクロスセル
パーソナライズされた商品やサービスのサブスクサービスによって、ユーザーと信頼関係が構築されると、アップセルやクロスセルに対し受け入れる傾向が高まるため、さらなる売上を期待することができます。
サブスクマーケティングの課題
解約率
サブスクリプションビジネスを展開するB2C企業を19か月にわたって調査した結果によると、解約率(サブスクリプションを解約した割合)は平均8.11%となりました5。多くの消費者は、サービスを受け始めた時の高揚感やサービス特典が終了するとサブスクリプションを解約する傾向にあります。だからこそ企業がユーザーへの商品やサービス価値を高めたいのであれば、サブスクリプションモデルに関して長期的な戦略を持つことが重要となります。
予算重視の消費者
世界的なインフレと生活費の危機にさらされている現在、最近の調査で消費者がサブスクリプションを解約する理由として「全体的な出費の削減」を挙げたのは驚くことではありません6。ビジネスが「必需品」ではなく「贅沢品」カテゴリーに分類される場合は、価値ある商品を提供するためにさらなる努力が必要になります。
効果的なサブスクマーケティング戦略の立て方
トライアル期間中にサブスクサービスのユーザーを獲得できても、長期的に維持するにはどうすればいいのでしょうか?
魅力的なディスカウント
ユーザーはよりお得な商品やサービスを求めているので、サービスを利用してもお得感を感じなくなれば、ユーザーは離れてしまいます。
特典の提供
値下げ以外にもユーザーを維持するためにできることはたくさんあります。たとえば、会員限定価格、優先サービス、誕生日の特別割引などです。ユーザーにとってサブスクリプションの利用=特別な体験となるように工夫しましょう。競合他社がどのような特典を提供しているかリサーチすることも大切です。
入会を簡単に
新規のユーザーにとって、サブスクリプションの登録は素早くスムーズなプロセスである必要があります。既存のユーザーであれば、すでに登録している情報(発送先住所、カード情報など)を使ってサブスク専用のアカウントを開設できるようにしましょう
フリーミアムのサブスクリプションモデル
フリーミアムとは、基本的なサービスをフリー(無料)で提供し、一部の追加機能や高度な機能を有料(プレミアム)で提供する形態のことを指します。つまり、新規のユーザーが最終的に有料登録することを期待して、基本的な機能への限定的な利用を無料で提供するサービスです。あなたのビジネスに何が適しているのかわからない場合は、短期間試し、有料登録数が投資に値するかを確認する事ができます。
段階的なサブスクリプションモデルを使用
サブスクリプションモデルの場合、一律の価格は最適なアプローチではありません。消費者の嗜好はそれぞれ異なるため、個々のニーズに応じて選択できる幅広い価格帯のサブスクリプションを提供するべきです。消費者が選択できる商品やサービスは売上に直結していることを忘れないでください!
透明性のあるキャンセルポリシー
多くの消費者は、長期契約に拘束されることを望まず、サブスクリプション・パッケージを敬遠する傾向があります。そのため、キャンセルポリシーは柔軟であればあるほど消費者が受け入れやすいものになります。サブスクリプションユーザーがいつでも(手数料なしで)簡単に解約できることは、購入先として支持を得ることができるでしょう。
適応と対応
時間の経過とともに、ユーザーのデータを活用しサブスクリプション・サービスを向上することが可能になります。サブスクリプション・サイクルのどの段階で最も多く解約されているのかを見極める必要があります。どの段階で何が発生しているのか、どのように対応することが可能になのかを検討する必要があります。またユーザーからのフィードバックを募ることも大切なプロセスの一つです。
自動課金システム
サブスクリプションユーザーからの支払いを簡単に処理可能な定期課金の決済プロバイダーを選択することも必要です。ユーザーのためにも課金プロセスはシンプルにしておくべきでしょう。
送料無料
サブスクリプションでの定期購入に関連する世界的な消費者調査では、「送料無料」がトップとなりました7。ビジネス上、送料無料を実施可能であればぜひ採用するべきです。必ず、サブスクリプションの登録ページで送料無料を明記しましょう。
信頼できる物流会社を選択
完璧なサブスクリプションモデルを構築し、ユーザーごとにパーソナライズされた商品やサービスの提供、特典も準備ができれば、次に検討するのは配送に関してとなります。この点に関して、DHL以上のロジスティクスパートナーはありません。
DHL Expressなら荷物の迅速で確実な配送を可能にするだけでなく、トラッキングや貨物の配送状況の確認などが可能です。ユーザーは常にサブスクリプションで購入した商品を確実に受け取れることができる安心感を得ることができます。