香港は成熟した市場でありながら、近年、EC市場が急速に成長しています。フリーポート(自由貿易港)である香港は、輸入・輸出貨物に関税がかからないため、国際ビジネスの発展に最適な環境を備えています。
香港におけるECビジネスの成長、市場のトレンド、消費者の購買行動の理解を深め、ビジネスを成功へ導きましょう。
ECビジネスのチャンスとメリット
香港のEC市場は、ビジネスチャンスにあふれています。迅速かつ信頼性の高い商品供給と優れたコストパフォーマンスによって、香港は消費者を強く引きつけています。さらに信頼性の高い配送業者やソリューションを活用することで、EC事業者は煩雑な手続きを省略し、スムーズな海外発送を実現することができます。さらにドア・ツー・ドアの配送サービスも整備されており、エンドユーザーには大きな利便性が提供されるため、EC事業者は国内企業と同じように香港市場で商品展開することが可能です。こうした強力な国内消費を背景に、香港は非常に魅力的なEC市場として位置づけられています。
8.93% Eコマースビジネスの成長
香港のEC市場における総売上は、2028年までに継続的に成長すると見込まれています(CAGR 8.93%)[1]。
総小売消費額の8.2%(2023年1月)
香港はおける小売売上に占めるEコマース取引の割合は、他の主要経済国と比較して遅れをとっています。香港の小売消費額のうち、オンラインでの支出はわずか8〜12%にとどまっているのに対し[2]、世界トップのEC市場である中国では47%、インドネシアでは31.9%、イギリスでは30.6%を占めています [3]。
ユーザー1人あたりの平均売上額(ARPU)は$1,381
2024年は、香港のEコーマスにおける消費者1人あたりの平均売上額(ARPU)は、$1,381になると予想されています[4]。
消費者の購買傾向
61%の消費者がサステナブルな商品に多く支払う傾向がある
環境に配慮した商品の販売を考えていますか?香港の消費者は環境意識が非常に高く、約61%の消費者がサステナブルな商品に対して追加料金を支払う意思があるとされています[5]。
モバイルファースト
2021年の香港におけるオンライン取引のうち、57%がモバイルで決済によるものでした[6]。市場は今後さらに成長すると予想されており、特に若年層に人気のあるアプリを活用したソーシャルコマースが、その成長を牽引する大きな役割を果たしています[7]。
香港の消費者は何をネット通販で購入するのか?
香港の消費者に注目されている商品カテゴリー(2022年9月現在)[8]
香港の消費者はどこでネット通販を利用しているか?
オンラインマーケットプレイスへの出店は、香港に初めて参入するEC事業者にとって有益な第一歩となります。
香港の主要なマーケットプレイス(2023年10月現在)[9]
- taobao.com(タオバオ(淘宝))
- carousell.com.hk(カルーセル香港)
- amazon.com(アマゾン)
- hktvmall.com(HKTVモール)
- price.com.hk(プライスドットコム香港)
香港のECユーザーは、どの国から最も多く購入しているのか?
香港のECユーザーの約25%が海外から商品を購入しており、これは、香港が比較的小さな都市であることが考えられます。最も人気のある購入先は中国で、市場全体の約37%を占めています。次いでアメリカが21%、日本が16%となっています [10]。
商戦期と文化的傾向
香港は、中国と西洋が融合した独特でユニークな文化を持ち、中国の新年、中秋節、クリスマスイブなどの行事が広く祝われています。EC事業者は、こうした文化的イベントやダブル・イレブン(独身の日)、ブラックフライデーといったオンラインセールを利用することで、効果的な商品のプロモーションを展開することが可能です。
輸入管理品目
香港では、特定の品目には輸入管理があり、通関手続きの際には対応する輸入許可証の提出が必要です。管理対象の品目には、動物や植物、管理対象物質、危険な薬物、課税対象の商品、食品、感染性のある物品、医薬品や薬、無線送信機器、戦略物資、有害な化学物質、代替喫煙製品が含まれます。スムーズな通関手続きのためには、事前に必要な輸入許可証を取得することが重要です。
輸入規制と通関手続き
香港の輸入規制は他国と比べて少なく、輸入は比較的簡単です。物品税が必要な品目は以下の4種類です:
- タバコ
- 炭化水素オイル
- メチルアルコール
- 度数30%以上の酒類
薬品、米、卵製品などの一部の品目については、貨物の到着前に輸入ライセンスや許可証の取得が必要です。スムーズな通関手続きをおこなうためには、輸入規制を十分に理解し、必要なライセンスや許可証を事前に取得することが重要です。制限品目には、以下のようなものがあります。
詳細情報は以下のリンクからご覧いただけます:
Hong Kong Customs and Excise Department - Controlled Imports「香港関税ー輸入管理」
TID - Strategic Trade Control Policy「貿易産業局ー戦略貿易管理施策」
貿易に関するアドバイス
香港では、通関業者は必要なく、DHLのような運送業者が、輸入通関手続きを代行します。
ただし、輸入または輸出した日から14日以内に香港税関に対して税関申告を行う必要があります。香港税関では、輸入/輸出申告書の詳細や手続きについて詳細な情報を提供しています。
香港へ輸出する際のDHLからのアドバイス
香港でのEコマース成功のためのアドバイス
このセクションでは、DHLのスペシャリストが、香港でのビジネス展開に役立つアドバイスをお届けします。
- 香港は他の国と比較して、一般商品の通関手続きが比較的簡単です。しかし、薬物、食品、生き物などの制限品目には、特別な注意が必要です。また、香港には郵便番号が存在しないため、正確な住所を入力することがとても重要です。スムーズな配送を実現するため、DHLや他の物流業者は、曖昧さを避けるために、配達先の受取人と住所の確認を徹底しています。
- DHLの MyGTS(My Global Trade Services)を使用すれば、簡単に出荷商品の正しいHSコードを見つけることができます。MyGTSは、国際配送のあらゆる要素をサポートする無料で使いやすいプラットフォームです。これにより、商品のコスト、関税・税金、運送料を含むランドコスト(輸入コストの総額)を各国ごとに計算することができるため、価格戦略を強化し、送料に関する透明性をお客様に提供することができます。
ネット通販ユーザーの好みと支払方法について
香港の消費者は、高級品や衣類、アクセサリー、電子製品、ライフスタイル商品などを購入する際に、デジタルチャネルを積極的に活用しています。香港の市場では、多くの小売業者がオンラインと実店舗の両方で事業展開しており、消費者を魅了しています。クレジットカード決済は広く受け入れられており、クレジットカードを使用するとキャッシュバックやエアマイルの特典が得られる場合もあります。さらに、AliPayやWeChat Pay、Tap & Go、Octopusなどのデジタルウォレットも人気のある支払い方法となっています。
配送に対する消費者の傾向
香港では、ドア・ツー・ドアの配送が最も好まれる方法です。その他にも、隣人に荷物を預ける、サービスポイントやロッカーでの受け取りなどの選択肢もあります。事業者はこれら消費者の傾向を考慮し、消費者に信頼性のある便利な配送オプションを提供することが重要です。